徹夜したあとの夜明けは嫌いじゃない。
ましてやそれが仕事とあっては、心地よい疲労感が夜明けの空にすぅーっと溶け込んでいく。
あ、ウソ。
仕事開けの夜明けなんて最低。
眠くて目はしょぼしょぼするし、(細い目がよりいっそう細くなるって剛にからかわれるし)顔もなんだかむくんでる。そして眠気もピークを過ぎるとギンギンに目が冴えて、今度はハイテンションっ !
まったく次の仕事は午前中にはスタジオ入りだぜ。今から帰って何時間眠れるかな。
こっからだと、家に帰るよりスタジオの方が近いし。でもシャワーは浴びたい。できれば朝飯も。
迷惑承知で携帯のメモリーから呼び出す番号。
「あ、オレ、井ノ原だけど、今からそっち行っていいかな?」
…なぁんて。
そんな風に言えりゃいいんだけど。夜明けはまだ電話するには早すぎる時間帯。
諦めて自分のマンションに帰って熱いシャワーを浴びる。途端に襲ってくる睡魔。
腹は減ったけど、今は少しでも睡眠をとりたい。
ふかふかのベッドに飛び込んで羽毛枕に頬擦りをした途端、携帯のメロディがオレをたたき起こす。
「オレだけど…今から泊めてよ」ぶっきらぼうな剛の声。
オレは仕事していたというのに、人の都合はお構いなしかよ。
「…朝飯、持ってきてくれたらいいよ」
コンビニのサンドイッチで誤魔化されながらも、そうやって電話してくるあいつに少しの心地よさ。
こんな夜明けは嫌いじゃない。
ここで井ノ原さん登場。 ちがう、剛つんはそんなキャラじゃねぇぞ。 というか、Vメンの誰もが突然家に押しかけるキャラじゃない。 でもこういうシュチュエーションを書きたかったので、 敢えて剛つんにその役割を託してみた。(爆)